事業の悩みを相談する

金沢市AI・DX推進支援事業補助金とは——2年間の設計と、来年度に向けて今やること

「金沢市にAI・DXの補助金があるらしい」と耳にしたものの、内容が2年構成で分かりにくい——そう感じる石川の経営者は多いはずです。この記事では、金沢市の「AI・DX推進支援事業補助金」について、市の公式ページで確認できる範囲の情報を整理し、来年度の募集に向けて今からできる準備をまとめます。本記事の情報は2026年9月時点のものです。制度は年度ごとに変わるため、申請前に必ず金沢市公式ページで最新情報をご確認ください。

この記事でわかること
  • 金沢市AI・DX推進支援事業補助金の目的と「1年目:計画策定/2年目:導入」という2年間の設計
  • 補助率・上限額・対象経費(市公式ページに掲載の数値)
  • 対象者の要件と、令和8年度の募集期間(執筆時点では受付期間終了)
  • 次年度の募集に向けて、いま社内でできる準備

制度の目的——「導入」ではなく「伴走」を補助する

金沢市AI・DX推進支援事業補助金は、市の公式ページによると「物価高騰の影響を受ける中小企業者の業務効率化及び生産性向上を図るため、AI・DXの導入等を伴走支援」することを目的とした制度です。ポイントは「伴走支援」という言葉にあります。ツールを買うお金を補助する一般的なIT補助金とは違い、この制度は「まず専門家と一緒に計画を作り、翌年度に計画に沿って導入する」という2段階の設計になっています。

中小企業のAI・DXが失敗する典型は、計画なしにツールを先に買ってしまうことです。「便利そうだから」で導入し、現場の業務に合わず使われなくなる——このパターンを制度側が防ごうとしている、と読むことができます。まず現状を把握し、体制を整え、目標を決めてから導入に進む。この順番自体が、補助金の有無にかかわらず参考になる進め方です。

2年間の設計——1年目は「計画策定」、2年目は「導入」

制度は「1年目:AI・DX推進計画策定事業」と「2年目:AI・DX導入事業」の2つで構成されています。市公式ページに掲載されている内容を表にまとめます。

区分事業内容補助率上限額主な対象経費
1年目
AI・DX推進計画策定事業
コンサルタント事業者による伴走支援(デジタル知識の取得、DX推進マインドの醸成、現況把握、体制整備、目標設定、計画策定)令和8年度:補助対象経費の3分の2
令和9年度(予定):2分の1(小規模企業者は3分の2)
150万円(1,500千円)委託料(コンサルティング費用)
2年目
AI・DX導入事業
1年目に策定したAI・DX推進計画に基づくシステム等の導入補助対象経費の2分の1(小規模企業者は3分の2)200万円(2,000千円)備品購入費、使用料及び賃借料、委託料、設置工事費、その他

出典:金沢市公式ページ「金沢市AI・DX推進支援事業補助金」(2026年9月時点で確認)。2年目の内容は「令和9年度(予定)」として掲載されているもので、確定ではありません。

1年目の対象経費が「コンサルティング費用(委託料)」に限られている点は見落としやすいところです。1年目にツールを買っても補助の対象にはなりません。逆に言えば、1年目は「外部の専門家と一緒に自社の業務を棚卸しし、計画にまとめる」ことに集中する年度です。2年目になって初めて、備品購入費や使用料・賃借料(クラウドサービスの利用料など)、委託料、設置工事費といった導入に伴う費用が対象になります。

対象者の要件——金沢市内に1年以上の事業所があること

対象者は、市の申請要項および石川県産業創出支援機構(ISICO)の支援情報ページによると「申請日以前に引き続き1年以上、市内に主たる事業所又は生産施設を有する中小企業者又は小規模企業者」とされています。ISICOの支援情報ページでは、「金沢市内に1年以上事業所がある中小企業者・小規模企業者で、市税等の滞納がない者」と案内されています。

したがって、金沢市外(たとえば白山市・野々市市・小松市など)に本社がある会社は、この制度の対象にはなりません。また、創業して1年に満たない事業者も対象外です。細かな要件(中小企業者の定義、滞納の有無、対象外となる業種など)は申請要項で定められているため、公式ページからダウンロードできる申請要項を必ずご確認ください。

出典:ISICO 支援情報「金沢市AI・DX推進支援事業補助金」(2026年9月時点で確認)

令和8年度の募集期間——執筆時点では受付期間は終了

令和8年度(2026年度)の募集期間は、市公式ページによると「令和8年3月16日(月曜日)から5月22日(金曜日)まで」でした。本記事を執筆している2026年9月時点では、この期間はすでに過ぎています。次年度(令和9年度)の募集があるかどうか、あるとすればいつからかは、執筆時点では公表されていません。市の公式ページを定期的に確認するか、産業政策課(電話:076-220-2204)にお問い合わせください。

なお、募集期間が春先に設定されていた点は重要です。年度が始まってすぐの募集だと、「補助金が出たから考え始める」では準備が間に合いません。前年の秋〜冬のうちに、社内の困りごとの整理と、相談先の当たりをつけておくことをおすすめします。

次年度に向けて、いま社内でできる準備

募集が始まってから慌てないために、今からできる準備を順番に整理します。いずれも補助金の採否にかかわらず、AI・DXを進めるうえで必要な作業です。

  1. 困りごとの棚卸し:「毎日同じ入力をしている」「同じ質問に何度も答えている」「情報が担当者の頭の中にしかない」など、現場の手間を書き出します。ツール名は考えず、困りごとだけを集めます。
  2. 時間の見積もり:書き出した困りごとごとに、週に何時間かかっているかを概算します。時間が大きいものから優先します。
  3. 資料の整理:業務マニュアル、よくある質問と回答、過去の書類など、AIに読み込ませる可能性のある資料を集め、古い情報はこの段階で更新します。
  4. 相談先の確認:金沢市の起業・経営サポートカウンター(産業政策課、電話:076-220-2204)や、ISICO(電話:076-267-1001)、石川県よろず支援拠点(電話:076-267-6711)など、公的な相談窓口に早めに相談し、制度の最新情報を確認します。
  5. 公式ページの定期確認:市公式ページと申請要項を月に一度は確認し、募集開始の告知を見逃さないようにします。

特に1と2は、補助金の1年目「計画策定」で行う「現況把握」そのものです。自社で先に整理しておけば、伴走するコンサルタントとの打ち合わせも密度が上がりますし、そもそも補助金を使わずに小さく始められる改善も見つかります。困りごとの棚卸しの進め方は、中小企業のDX、何から始める?で詳しく解説しています。

この制度と、国の「デジタル化・AI導入補助金2026」の違い

石川の中小企業がAI導入で検討する補助金としては、この金沢市の制度のほかに、国(中小企業庁)の「デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)」があります。両者の違いをごく簡単にまとめると、金沢市の制度は「計画策定の伴走支援から始まる2年間の設計」、国の制度は「登録されたITツールの導入費用を補助する単年度の設計」です。国の制度については、デジタル化・AI導入補助金2026で生成AIツールは対象になるかで別途整理しています。

どちらが自社に合うかは、「まず計画から作りたいのか」「導入したいツールがすでに決まっているのか」で分かれます。迷う場合は、上記の公的相談窓口に両制度をあわせて相談するのが確実です。

当事業(AID CRAFT)の立ち位置について

AID CRAFTは金沢市を拠点に、中小企業向けのAIシステム開発・AI活用支援・ホームページ制作を行う個人事業です。現時点では補助金の申請代行は行っておらず、この制度の「コンサルタント事業者」として登録・指定されているわけでもありません。本記事は、公開されている情報を整理したものであり、採択や補助の可否を保証するものではありません。

一方で、「何をAI化すれば効くのか」「今のホームページや業務のどこに手間が集中しているのか」の整理は、補助金の有無にかかわらずご一緒できます。社内AI(ハカドル)やAIチャットボット(コタエル)のような小さな導入から始める選択肢も含めて、率直にご提案します。

よくある質問

Q. 金沢市外の会社でも申請できますか?

A. 市の案内では「申請日以前に引き続き1年以上、市内に主たる事業所又は生産施設を有する」ことが要件とされています。金沢市外に本社がある場合は対象外と考えられますが、最終的な判断は申請要項と市の担当課にご確認ください。

Q. 1年目でツールを買って補助を受けられますか?

A. 市公式ページでは、1年目の対象経費は「委託料:コンサルティング費用」とされています。ツールの購入費や利用料が対象になるのは、計画に基づいて導入する2年目の事業です。

Q. 今から申請できますか?

A. 令和8年度の募集期間は令和8年5月22日までとされており、2026年9月時点では期間を過ぎています。次年度の募集の有無・時期は公表されていないため、市公式ページと産業政策課(076-220-2204)でご確認ください。

Q. AID CRAFTに申請の代行を頼めますか?

A. 現時点では申請代行は行っていません。困りごとの整理やAI活用の方向づけはご相談いただけますが、申請手続きや制度の解釈については、金沢市や公的な相談窓口にご確認ください。

本記事は2026年9月時点で金沢市公式ページおよびISICOの支援情報ページに掲載されていた内容を整理したものです。制度は年度ごとに内容が変わる可能性があり、本記事の内容が最新であることを保証するものではありません。また、補助金の採択や交付を保証するものでもありません。申請にあたっては、必ず金沢市の公式ページ・申請要項および担当課(産業政策課)の案内をご確認ください。

金沢市のAI・DX推進支援事業補助金は、「計画を作ってから導入する」という順番を制度の形にしたものです。募集を待つ間にできる一番の準備は、自社の困りごとを棚卸しし、どこに時間が消えているかを数字で把握しておくことです。その整理ができていれば、補助金を使うにせよ使わないにせよ、AI・DXの最初の一歩は確実に軽くなります。

補助金の前に、困りごとの棚卸しから

現時点では申請の代行はしていませんが、「何をAI化すれば効くのか」の整理はご一緒できます。金沢拠点・オンライン中心で、ご相談は無料です。

無料で相談する

制度の最新情報は各機関の公式ページをご確認ください。ご相談はお問い合わせフォームから無料でお受けしています。

順教寺一咲
この記事を書いた人順教寺 一咲(AID CRAFT 代表)石川県金沢市を拠点に、AIシステム開発とWeb制作で中小企業を支援。制度の記述は各機関の公式ページを確認のうえ執筆しています。代表プロフィール LinkedIn
事業の悩みを相談する